オリンピックマラソンよりも箱根駅伝

年々盛り上がりを見せる箱根駅伝、「箱根から世界へ」をキャッチコピーとしている反面、リアルは異なるように感じます。今回は、なぜ箱根駅伝の方が魅力が出てしまうのか、箱根駅伝経験者として記事を書いてみたいと思います。

2020年東京オリンピックマラソンと97回箱根駅伝の視聴率

4年に1度の祭典と併せ、東京での開催となった2020年東京オリンピック。

大きな盛り上がりを見せた反面、興味深い視聴率データがありました。

視聴率データ

9位:97回箱根駅伝復路(視聴率33.7%)

13位:東京五輪男子マラソン(視聴率31.4%)

年間の視聴率を見たところ、箱根駅伝の方が視聴されているというデータがありました。

視聴率が高い=人気がある、とまでは言いませんが、陸上というコンテンツに限っては、世間の注目は箱根駅伝の方が人気となったように感じました。

その要因は、開催時期の影響もあるかもしれませんが、箱根駅伝が注目を集める一つのブランドになっているからだと思います。

参照:日刊スポーツ「2021年間視聴率」

なぜ箱根駅伝の視聴率はオリンピックマラソンに勝ったのか?

優劣をつけるのは違うと思いますが、スポーツの魅力の伝え方として、箱根駅伝は最先端を走っているのだと思います。箱根駅伝の魅力をまとめていきます。

1. ドラマ作りが上手い

箱根駅伝は、1年をかけて選手を追いかけていきます。合宿の風景から寮生活、記録会レース後のコメントまで、1年をかけて学生の魅力を伝えているメディアは、そこまでないのではないでしょうか?箱根駅伝に関しては、100回を記念して、2023年の年末に特番が組まれるほどの人気となっています。その他にも、「箱根駅伝春夏秋冬」「もう一つの箱根駅伝」など、箱根駅伝をテーマにした番組もあるほどです。

2. 4年間という期限

箱根駅伝は大学生のスポーツです。基本、4年間という陸上競技の中で行われます。特に4年生最後の箱根駅伝や監督と選手の信頼関係などに心を打たれる人は多いのではないでしょうか?4年間という期限があることも、選手に注目したくなる要因の一つかもしれません。

3. 学生のスポーツであるため、分かりやすくスポンサーが参入しやすい

箱根駅伝は、今や学生のみのスポーツではないと思っています。今は選手のユニフォームにスポンサーがついたり、選手個人にスポンサーがついたりするなど、企業が多く参入してきています。例えば、陸上選手の商売道具であるシューズについて、広告という観点で見ると100回大会では23校が出場し、230名が出走しております。オリンピック選手が履く靴よりも学生が履く靴の方が親近感が湧き、購買意欲につながるのではないでしょうか?

既知の通り、シューズの価格は高騰しているため、選手にとっても提供はありがたく、宣伝してくれるスポンサーにとってもWin-Winな関係になっていると思います。もちろん宣伝した対価として、選手への報酬があるのも事実です。

箱根後が本当は大事

選手にとっての箱根は通過点でしかありません。

過去記事で詳細記載しております。https://naoppo-life.com/hakone-ekiden/

選手が目指すべき目標は、オリンピックや世界陸上でのタイトルです。ですが、まだ「箱根から世界へ」を体現してくれている実例はありません。注目度が高いが故に、選手の箱根に対する位置付けが、「箱根から世界へ」ではなく「箱根からその後のキャリアへ」に移行する選手が増えてきている状況にあると思います。世界と戦うために、箱根駅伝を中期的な目標として捉えた指導が、非常に大事だと感じております。

まとめ

箱根を活かしたその後のキャリアは、選手それぞれです。全ての選手が、世界を目指す意識ではないと思います。私は箱根駅伝という素晴らしいスポーツに出場したことで、オリンピックでメダルをとることを夢に描いたこともありました。近い将来、箱根を走った選手がメダルをとる日が来ることを心から祈り、今後も陸上界の発展に貢献をしていきたいと思います。